辟雍NEWS
東京学芸大学ホームカミングデー講演会
本学と辟雍会との共催事業「第24回東京学芸大学ホームカミングデー講演会」は11月1日(土)、小金井祭第1日に行われました。講演は三重大学大学院教授の立花義裕氏でした。立花氏は気象学を専門とし、「羽鳥真一モーニングショー」を始めマスコミにも登場して異常気象についてわかりやすく解説することで知られています。講演題目は「これからの日本はどうなる?―異常気象の未来予測―」でした。昨年の夏は暑かった、今年はそれをはるかに上回る暑さだった、と切り出してユーモアを交えてのおよそ1時間半、熱のこもった話に圧倒されました。
なぜ暑いのか。話によると、偏西風の蛇行によって、チベット高気圧、南北傾斜高気圧、太平洋高気圧が折り重なるように日本列島上空に張り付いた時の現象といった気象予報士の解説があるが、実は海面温度の上昇が主たる原因で、流れの早い黒潮が熱帯の高温の水を日本列島に運んでくる、こうして日本列島は高温化の条件が揃う位置にあるということでした。日本付近の海面温度の上昇は世界でもダントツで、2023年から異常な状況だそうです。日本列島は異常気象から狙い撃ちされていると思いました。
日本の未来は気象の面からみると、暗澹たる気持ちになります。猛暑、豪雨、豪雪は深刻な被害をもたらし、経済の面での打撃も大きい。これがずっと続くのでしょうか。寒暖の差が大きくなればそれによる死亡率も上がり、人口減少に拍車をかけます。人々は暑さを逃れ、また寒さを逃れ、さまよう状況が出てきてもおかしくないと思われます。北極の氷が解け始めているのを止めることもできない。日本はどうしたらよいのか、私たちはどうしたらよいのか。地球温暖化の原因が二酸化炭素等の温室効果ガス増加であることは疑う余地がないと立花氏は言います。この問題は私たちの問題であることをあらためて突き付けられました。イタリアでは「気候変動」が必修科目に置かれているそうです。明日を担う子どもたちへの教育的観点からも、集まった教育関係者は他人事でない話と受け止めたに違いありません。(小澤一郎記)
写真1 講演題目「これからの日本はどうなる?」

写真2 講演する立花義裕氏
写真3 ホームカミングデー講演後、立花義裕氏を囲んで
左より村松泰子元学長、國分充学長、立花義裕氏、馬渕貞利会長
