ホームカミングデー講演(小林晋平先生) 「わかりやすければよいのだろうか?~学問の面白さを伝えるということ~」

 11月5日(土)小金井祭初日、3年ぶりに開催されたホームカミングデーの講演会はS410教室で行われ、学芸大学関係者や近隣住民の方々で賑わっていました。國分充本学学長、長谷川正辟雍会会長の挨拶のあと、小林晋平先生が登壇され、標題の講演が始まりました。小林先生は2015年に本学へ着任され、現在に至るまで基礎自然科学講座物理科学分野准教授として教鞭をとっておられます。小林先生のエネルギッシュなトークは講義でも学生たちに大人気です。またYouTubeやテレビの画面を通しても先生の魅力は広く知られているところです。先生の詳しいプロフィールはホームページに掲載のパンフレットをご参照ください。
 講演では現在教育界で使われる「わかりやすい」といった言葉に潜んだ本質的な課題から、「わかりやすい」で終わらせない学問の面白さをどう伝えるべきかを聴衆に投げかけました。物理学の世界を超えた課題でした。
講演の司会にあたった基礎自然科学講座物理科学分野教授の荒川悦雄先生(本会の事業部長・情報化推進部長)のコメントを紹介します。
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 高校物理基礎の教科書の目次から始まり、各項目が意味ある順序により構成されている全貌を俯瞰させることを強調しておりました。驚いたのはご自身の講義で使用されているという設問集の中身でした。なんの変哲もない、ごく普通の例題が並んでいました。教えやすい内容のところだけを薄く選んだ「ただの知識」ではなく、分厚い内容で「人格を伴う教養」へと発展させることを勧めておりました。「良い問い」を立てるなど、あの手この手を惜しむことなく教えてくださいました。
 コツコツと書き溜め、蓄積してこられた言葉の数々は、心を揺さ振り、学ぶ幸せを確認するものでした。「やる気の無料配布」は私にも到達しました。「結局のところ、どれだけ時間を費やすかです。」と締めくり、教育者は「遠足の引率者だ」と仰っていました。

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