会長挨拶

辟雍会会長
長谷川 正
 

 皆様お変わりなくお過ごしのことと存じ上げます。

 2020年4月に会長に就任し1期目の任期が満了となりましたが,引き続き会長を務めせていただくことになりました。今後ともどうぞ一層のご指導,ご支援を宜しくお願いいたします。

 振り返りますと,この2年間は,新型コロナウィルス感染症の流行と拡大のため,対面式の集まりを自粛せざるを得ず,全国代表者会議も理事会・幹事会等も対面では開催できず,活動が制限された期間となってしまいました。2019年12月に中国武漢市で新型コロナウィルス感染者の第1例目が報告されてから, 僅か数ヶ月の間に世界的な流行となり,会長就任直後の2020年4月早々に東京,大阪,神奈川,埼玉,千葉,兵庫及び福岡の7都府県で緊急事態宣言が発令され,それが4月中旬には全都道府県に拡大されました。これさえ乗り切ればコロナ禍が終わると誰もが信じていたのではないでしょうか。しかし,感染者が減少しても,また急な増加となるうねりが起こり,今は第7波の到来が懸念されています。こんなにコロナ禍が長期化するとは誰も予想していなかったと思います。大学では,緊急事態宣言発令に伴って学外者の入構を制限し,それがまだ続いています。今期は対面式での全国代表者会議等が開催できますことを願っていますが,オンライン会議を含めて,今後の会議の持ち方と本会活動の活性化策を検討していく所存です。

 学校では,新学習指導要領に沿った教育が始まっています。この開始時期がコロナ禍の始まりと重なり,休校措置もありましたので,先生方はさぞご苦労されたことと思います。今回の改訂では「『主体的・対話的で深い学び』の実現に向けた授業改善を推進すること」が求められています。この授業改善では「話し合い」が重要な学習活動ですが,給食時は黙食,授業中も児童・生徒はマスクを着用しなくてはならず,また,オンライン授業となる時もあり,話し合いの実現に工夫をされたことと思います。話し合いのような,今まで当たり前にできていたことが制限されているコロナ禍では良いことは何もないように思えますが,このような中でも次に繋がることを見つけられています。先日,高校の先生から「コロナ禍でなかったらオンライン授業はしなかっただろうが,オンライン授業では,生徒が理解し難いところの録画を何回も見て理解していた。これはオンライン授業のメリット」とのお話を聞きました。コロナ禍の不自由な環境を,今まで気が付かなかったことを見出す良い機会と捉えて,辟雍会を更に発展させる何かを見つけたく思います。

 学校での先生方のご努力と同様に,科学や医学分野での研究も着実に進められています。最近,国内の製薬会社が新型コロナウィルス感染症経口治療薬を開発し薬事承認を厚労省に申請中とのニュースがありました。感染症は古くから知られており,旧約聖書にも記述があるそうです。ウィルスを撲滅できなくても,インフルエンザウィルスに対するようなワクチンや治療薬が開発できれば,ヒトはウィルスと共存して行くことができるはずです。早くマスクなしで過ごせる平穏な日が戻りますことと,会員の皆様のご健康をお祈りいたします。

 人間社会での軍事侵攻は絶対にあってはならないことです。困難に直面されているウクライナの皆様に心よりお見舞い申し上げます。事態が一刻も早く平和的に解決し、平穏な日々が戻りますことを祈ります。