会 長 挨 拶

令和3年4月

辟雍会会長
長谷川 正

 皆様お変わりなくお過ごしのことと存じ上げます。

 一昨年12月に中国湖南省武漢で発生しました新型コロナウィルス感染症が全世界に拡大し,我国では緊急事態宣言が2回発令されました。長かった1都3県の緊急事態宣言が,この3月21日にやっと解除されましたが,また新規感染者が増え始め,第4波が懸念されています。今年は例年より暖かい日が多く,東京では3月14日に桜の開花宣言が出ましたが,人が賑わう今までのようなお花見の光景は見ることができませんでした。早く,普通に暮らせる日々が戻ることを祈るばかりです。

 ともすると暗くなりがちですが,このような中で,大坂なおみ選手が全豪オープンで2年ぶり2度目の優勝,白血病の闘病生活を乗り越えた池江璃花子選手が東京都オープンの50mバタフライで復帰後初優勝,片道約3億kmの宇宙旅行から戻ってきた「はやぶさ2」から小惑星「リュウグウ」表面で採取した試料を入れたカプセルを無事回収,米国の火星探査車が火星に着陸して動画を送信等の明るいニュースがありました。どれも先への楽しみを感じさせてくれます。

 火星と聞くと,タコのような姿をした火星人を思い浮かべるのは,私のような高齢者だけでしょうか。火星人の姿は,英国のSF作家が書いた「宇宙戦争」(1898年)の挿絵が元とのことです。この小説がドラマ化され,米国で1938年にラジオ放送された時,現実のニュースと思った市民がパニックになったという話があります。火星人の姿は,火星に溝のようなものが沢山見え,それを運河と思ったことに起因しています。そのような運河を作ることができる高等生物がいるなら,火星の重力は地球よりも小さいので,大きな頭をしていても細い手足で支えられるだろうという"科学的"想像に基づいたものでした。今は火星に火星人がいると考える人はいないでしょうが,「地球人は火星から来た」という説がまじめに考えられています。もちろんタコのような火星人が地球に来て地球人になったということではなく,生命誕生の元になった物質が火星ででき,それを含む隕石が地球に飛来した可能性が考えられているということです。このように考えられているのは,生命の元になる物質ができるためには海だけでなく陸があることが必要なのに,太古の地球には陸がなく海だけで火星には海と陸があったからです。火星探査車からこれから送られてくる情報で,「地球人は火星から来た」かどうかに決着がつくと思います。HEKIYOU_2001kaichou.jpg

 コロナ禍の中でも科学や医学を始めとする人間生活を向上させる研究は着実に進められています。ワクチンの効果も今年中には現れるでしょう。コロナ禍で,当たり前のことが当たり前にできることの尊さと人と会えることの大切さを実感しています。支部も含めた本会活動は,人と人との交流が基盤で,それができないとなかなか進められません。昨年は,支部活動の一助にもなればと考え「辟雍会通信」を発行しましたが,これが支部の集まりの連絡用に使えるような安心して集える日が早く来ることを願っています。

 今年度も我慢の一年となりそうですが,これからの辟雍会を発展させる何かを見つけたく思っていますので,ご支援ご鞭撻の程,よろしくお願い申し上げます。会員の皆様のご健康をお祈りいたします。